BtoB企業の顧客データ管理、よくある課題とその乗り越え方

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BtoBマーケティングや営業活動をしていると、必ずと言っていいほど直面するのが「顧客データの管理」なんですよね。
私自身、これまでいろいろな企業の支援をしてきましたが、データに関する悩みって本当に多いです。
たとえば、「CRMを入れたけど活用しきれてない」とか、「名刺データが散らかっていて、営業が探せない」とか。
こうした課題を把握するために、少し前に全国のBtoB企業を対象に「顧客データ管理の課題調査」を行いました。
その結果をベースに、今回はよくある課題や傾向、そして現場でできる改善のヒントをまとめてみました。
同じような悩みをお持ちの方の参考になれば嬉しいです。

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多くの企業が「Excelやスプレッドシート」で管理している現実

まず最初に、顧客データの管理方法を聞いてみたところ、一番多かったのはやはり「Excel」や「スプレッドシート」。
次いで、CRMやSFA、名刺管理ソフトなども使われていましたが、複数のツールを併用している企業もかなり多かったのが印象的でした。
この「ツールの併用」、実は意外と厄介なんですよね。
部署ごとに使っているツールが違ったり、入力ルールがバラバラだったりすると、同じ会社が微妙に違う名前で複数登録されてしまいます。たとえば、「株式会社○○」と「(株)○○」で別エントリーになってしまう、という具合です。
こうなると、マーケティングの配信対象が重複したり、営業が過去の接点を把握できなかったり、いろんな弊害が出てきます。
データを「持っている」のに「使いこなせない」という、もったいない状態です。

マーケティングで活用されるデータの実態

次に、顧客データをどう活用しているかを聞いてみました。
結果は、1位がメール配信、2位がDM、3位が電話営業。SNSやFAXも一定数使われていましたが、特にメールマーケティングの比率が圧倒的でした。
この傾向自体は予想通りなのですが、注目すべきは「送るだけになっている」企業が多いこと。
つまり、顧客データを活用しているつもりでも、配信の精度や反応率の分析まではできていないんですね。
しかも、データの内容が古かったり、メールアドレスの形式がバラバラだったりすると、配信エラーや反応率の低下にもつながってしまいます。
「せっかくコンテンツを作っても、届いていない・読まれていない」なんてことがあるのは、ちょっと悲しいですよね。

「クレンジングの必要性は感じている」が実行には至らない

ここからが本題です。
多くの方が「データを整理しなきゃ」と思っていることは明らかでした。
調査では、全体の約6割がデータクレンジングの必要性を感じていると回答しています。
でもそのうちの半数以上は「実行できていない」というのが現状。
なぜかというと、「コストがかかる」「手間がかかる」「ツールが分からない」といった理由が多く挙がっていました。
実際、クレンジングをやろうとすると、表記ゆれの統一、重複データの統合、不要データの削除など、想像以上に時間と手間がかかります。
特に、マーケや営業部門が日常業務の合間に対応しようとすると、手が回らないというのはよくある話です。

表記ゆれ・重複・古い情報…放っておくとビジネスチャンスを逃す

データクレンジングが必要と感じている理由としては、「重複が多い」「表記ゆれがある」「古い情報が残っている」などが代表的です。
たとえば、同じ会社が3つの名前で登録されていて、営業がそれぞれにアプローチしていたなんてこともありました。
また、以前の住所や旧社名のままデータが残っていて、郵送したDMが返ってくるなんてケースも少なくありません。
これってコストも無駄になりますし、何より相手に「情報が古い企業」という印象を与えてしまいます。
顧客に信頼されるためには、正確で新しい情報を常に保つことが大事なんです。

データクレンジングを成功させるための現実的なステップ

じゃあ、どうすればクレンジングをうまく進められるのか?
大切なのは、完璧を目指さず「できる範囲から始める」ことです。
まずは、現在のデータベースにどんな問題があるかをチェックしてみる。
重複が多いのか? 表記ゆれがあるのか? 古いデータが残っているのか? 課題を可視化するだけでも、次に何をすればいいか見えてきます。
その上で、たとえば
・名寄せ(同一顧客のデータを統合)
・表記統一(会社名・住所・氏名のフォーマット整備)
・最新データとの突合(外部DBとのマッチング)
こういったステップを段階的に取り入れていくと、無理なく進めやすくなります。

データは「持っている」だけでは意味がない

最後に強くお伝えしたいのは、整っていないデータは、むしろ業務を非効率にしてしまうということです。
たとえば、営業が探していた担当者の名前が見つからない。
メールを配信したのに、実はそれが古いアドレスで、まったく見てもらえていなかった。こうした「小さな無駄」が積み重なることで、本来得られるはずだった商談や契約を逃してしまっているかもしれません。
逆にいえば、きちんと整備された顧客データは、営業効率・マーケティング効果・顧客体験のすべてを底上げしてくれる資産になります。
だからこそ、今このタイミングで一歩踏み出してみることをおすすめします。

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