電通・電通総研、新事業創出とR&Dの関係性調査

電通および電通総研は、企業における新たな事業創出と研究開発(R&D)部門の関係性について、R&D部門およびその他事務系部門の計760名を対象とした詳細な調査を実施しました。この調査の目的は、企業が新たな事業や製品の企画にどのように取り組んでいるのか、R&D部門がその過程にどれだけ貢献しているのか、そしてどのような課題が存在するのかを明らかにすることにありました。
調査の結果、企業がR&D部門に対して抱く期待は、「よりスピード感のある研究・開発」「グローバルで戦える技術の開発・研究」「事業成果を見込んだ研究・開発の推進」といった点が上位を占める一方で、これらの期待に対するR&D部門からの実際の貢献実感は低いことが明らかになりました。
さらに、新たな事業創出や製品企画に現在取り組んでいる企業は全体の約7割に達するものの、その中で「成果が上がっている」と実感している企業はわずか2割に留まるという厳しい現実も浮き彫りになりました。R&D部門が生み出す成果が新たな事業創出に「非常に貢献できている」と回答した割合も12.4%と低い結果でした。
しかし、注目すべきは、取り組みの成果を強く実感している企業ほど、R&D部門が積極的に貢献していると約4倍も強く感じている点です。このことから、成果を出している企業におけるR&D部門には、以下の5つの共通した特徴があることが判明しました。
・中長期でのあるべき姿・研究戦略の共有ができている:
R&D部門の明確なビジョンとゴールが社内で共有され、方向性が一致していること。
・社内外での自社技術理解ができている:
自社の技術が社内外で正しく理解され、その価値が広く認識されていること。
・顧客ニーズへの深い理解がある:
顧客の真のニーズを深く理解した上で、研究開発を進めていること。
・R&Dが新たな事業創出を主導・関与できている:
R&D部門が新規事業の創出に主体的に関与し、他部門と連携して推進していること。
・社外パートナーとうまく連携できている:
外部のコンサルタントや協力会社との連携が円滑に行われ、シナジーを生み出していること。
この調査結果は、R&D部門が企業の新たな事業創出において極めて重要な役割を担っており、R&D本来の役割に立ち返り、他部門や外部との連携を強化することが、今後の企業の成長には不可欠であることを強く示唆しています。
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https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0805-010924.html