問い合わせゼロ会社の5共通点

「施策はやっている」のに問い合わせが来ない——その違和感の正体
サイトのリニューアルに300万円かけた。Google広告も月10万円で回している。展示会にも出た。にもかかわらず、先月の問い合わせ件数はゼロ——そんな状況が3ヶ月以上続いているとしたら、何かがおかしいと感じるのは当然です。
この記事を読んでいるあなたも、おそらく似たような状況にいるのではないでしょうか。「やることはやっている」という感覚と、「でも結果が出ていない」という現実のギャップ。その違和感の正体は、施策の量や費用の問題ではなく、設計の問題にあります。
BtoBサイトの平均コンバージョン率は1〜3%程度とされています。つまり、サイトを訪れた訪問者の97%以上は問い合わせをせずに離脱しています。その97%の人たちが「なぜ帰ったのか」を把握せずに施策を積み上げても、バケツに穴が開いたまま水を注ぐのと変わりません。
この記事では、問い合わせゼロが続く会社に共通する5つのパターンを、実際の現場でよく見られる状況とともに解説します。読み終えた後には、自社サイトのどこに穴が開いているかを自分で診断できるようになります。
共通点①:訪問者に『次の一手』を示せていない(CTA設計の欠如)
「会社概要」「サービス紹介」「お問い合わせ」——この3ページだけで構成されているBtoBサイトは、今でも珍しくありません。ページを読んだ訪問者が次に何をすればいいか分からない状態、これがCTA設計の欠如です。
「お問い合わせはこちら」だけでは機能しない理由
多くの担当者がCTAをページの末尾に1つ置けば十分だと思っています。しかし実際のユーザー行動を見ると、ページを最後まで読む訪問者は全体の20〜30%程度に過ぎません。スクロールの途中で離脱する訪問者に向けて、読んでいる途中のタイミングでも行動を促せる設計が必要です。
さらに深刻なのは、「いきなり問い合わせ」というCTAしか用意されていないケースです。BtoBの購買では、担当者が社内で上司や関係部署に稟議を通す必要があります。まだ情報収集段階の訪問者に「今すぐ問い合わせ」を求めるのは、初対面の相手に「今すぐ契約してください」と言うのと大差ありません。
CTAは「段階」で設計する
問い合わせに至るまでの訪問者の心理状態は一様ではありません。「まず情報が欲しい」「比較検討中」「具体的に話を聞きたい」という3段階に対して、それぞれ異なるCTAを用意することで、問い合わせ数は変わります。
- 情報収集段階:資料ダウンロード、事例集PDF請求
- 比較検討段階:無料相談、デモ申し込み
- 意思決定段階:見積もり依頼、担当者への直接問い合わせ
国内の中小BtoB企業のサイトで資料ダウンロードや無料相談などの「中間CTA」を設置しているケースは、全体の3割程度という調査もあります。裏を返せば、7割の企業が「問い合わせ」という高いハードルしか用意していないということです。
共通点②:誰向けのサイトか分からない(ターゲット不在のメッセージ)
「製造業から金融業まで幅広く対応しています」「中小企業から大手まで導入実績あり」——こうしたメッセージで始まるトップページを持つ会社は、意外と多いです。
これは「みんなに刺さろうとして、誰にも刺さらない」典型例です。BtoB購買の担当者は、自社の課題にピンポイントで答えてくれるサービスを探しています。「あなたの業界・規模・課題に特化した解決策があります」というメッセージを見た瞬間に初めて「これは自分ごとだ」と感じます。
「お客様の課題を解決します」は情報量ゼロ
サイトのキャッチコピーに「お客様の課題を解決するパートナー」「貴社の成長を支援します」といった言葉を使っている会社は、今すぐ見直すべきです。このコピーは、どの業界・どのサービスの会社にでも当てはまります。つまり、読んだ訪問者には何の情報も届いていません。
代わりに必要なのは、「誰の、どんな課題を、どうやって解決するのか」を3秒で伝えられるメッセージです。たとえば「従業員50〜200名の製造業専門|営業管理システムの導入から定着まで支援」のような具体性を持たせることで、対象読者が「これは自分向けだ」と判断できます。
ターゲットが絞れない本当の理由
「ターゲットを絞ると顧客を失う気がする」という不安は、現場の担当者から非常によく聞く声です。しかし実際には、ターゲットを絞ることで検索での露出精度が上がり、資料請求の質も上がります。「誰でも対応します」と言うより「〇〇業界専門です」と言った方が、問い合わせ1件あたりの受注率が上がる——これが多くの現場で確認されている現実です。
共通点③:信頼の根拠がどこにもない(実績・事例の未活用)
BtoBの購買において、担当者が最も恐れているのは「失敗して社内で責任を取らされること」です。そのため、初めて接触する会社に対して「本当に任せて大丈夫か」という不安を解消するための情報を、訪問者は必死に探しています。
ところが、国内の中小BtoB企業のサイトで導入事例ページを保有しているのは全体の4割程度という調査があります。6割の企業が、訪問者の「信頼の確認」という行動に一切応えられていない状態です。
「導入実績200社以上」では信頼されない
数字だけ並べた実績表示は、もはや信頼の根拠として機能しません。「導入実績200社以上」という記載を見ても、訪問者は「それって自分と同じような会社なの?」「どんな成果が出たの?」という疑問を持ったまま離脱します。
効果的な事例コンテンツに必要な要素は以下の4点です。
- 導入前の状況:どんな課題や悩みがあったか(訪問者が自分ごと化できるか)
- 選んだ理由:なぜ他社ではなくこの会社を選んだか
- 導入後の変化:具体的な数字で示せるか(「工数が月40時間削減」など)
- 顧客のリアルな声:担当者の名前・会社名・顔写真があるか
事例が作れない会社がよく言うこと
「顧客に事例掲載の許可を取れない」という声もよく聞きます。しかし多くの場合、「会社名や担当者名を出したくない」だけで、「数値や効果の内容なら公開してもいい」という顧客は意外に多くいます。まず「匿名でも構いません」という前提で打診してみることで、事例コンテンツを作れるケースは増えます。
共通点④:検討段階の違いを無視した一律の情報提供
Gartnerの調査によると、BtoB購買の意思決定には平均5〜7人が関与するとされています。製造業の設備投資であれば、現場担当者・製造部長・総務部・経営企画・社長といった形で、それぞれ異なる関心事を持つ複数の人間がサイトを訪れます。
にもかかわらず、多くの会社のサイトは「一種類の訪問者」しか想定していません。これが、問い合わせに至らない大きな原因の一つです。
担当者と決裁者では「見たい情報」が違う
同じ会社の同じサービスページを見ていても、訪問者の役職によって必要な情報は大きく異なります。
| 訪問者の役割 | 主な関心事 | 必要なコンテンツ |
|---|---|---|
| 現場担当者 | 使いやすさ・導入の手間 | 操作画面・導入ステップ・サポート体制 |
| 部門責任者 | 費用対効果・他部署への影響 | 導入事例・ROI計算・比較表 |
| 経営者・決裁者 | リスクと投資回収 | 実績数字・会社の信頼性・導入後保証 |
理想的には、訪問者が自分の役割を選んでそれぞれに最適化されたページに進める設計が有効です。しかし最低限、トップページや主要なランディングページで「担当者の方へ」「経営者・管理職の方へ」という導線を分けるだけでも、問い合わせの質と量は変わります。
「今すぐ客」だけを狙ったサイト設計の落とし穴
BtoBの購買プロセスは長く、最初の認知から問い合わせまで3ヶ月〜1年以上かかるケースも珍しくありません。「今すぐ問い合わせしたい人」だけに向けたサイトでは、その手前の「まだ情報収集中」の見込み客を全員取りこぼしています。ブログ記事・コラム・用語解説といった「教育コンテンツ」を持たないサイトは、長い購買プロセスのどこにも接点を作れていないということです。
共通点⑤:問い合わせへの『心理的ハードル』を下げていない
問い合わせフォームのページまで来たのに離脱する訪問者が多い——これは、多くのBtoBサイトで起きている見えない損失です。フォームページへの到達率とフォームの送信完了率を比較すると、フォームでの離脱率が50%を超えているサイトも珍しくありません。
問い合わせフォームが「怖い」と感じられている
BtoBの購買担当者がフォーム入力をためらう理由は、以下のようなものです。
- 「送ったら営業電話がしつこくかかってくるのでは」という不安
- 「まだ具体的に決まっていないのに送っていいのか」という迷い
- 「上司への報告前に外部に接触するのはまずいかも」という社内事情
- 入力項目が多すぎる(業種・従業員規模・予算・検討時期など10項目以上)
これらの心理的ハードルを下げるために、フォームページで明示すべき情報があります。「お問い合わせ後の流れ」を3ステップで示すこと、「しつこい営業はしません」という一文を入れること、必須項目を名前・メールアドレス・相談内容の3つに絞ること——この3点だけでフォームの送信完了率が1.5〜2倍になったケースがあります。
「問い合わせ」という言葉自体を疑う
実は、「お問い合わせ」というボタンラベルは心理的ハードルが高い言葉です。「まずは相談する(無料)」「資料を送ってもらう」「話を聞いてみる」のような、より軽いアクションを連想させる言葉に変えるだけで、クリック率が変わることがあります。問い合わせフォームのページタイトルやボタンの文言を見直すのは、費用がかからず今日からできる改善です。
まず確認すべき5つのチェック——あなたの会社はいくつ当てはまるか
ここまで読んで「自社に当てはまるかもしれない」と感じた方は、以下のチェックリストで現状を確認してください。5項目のうち3つ以上に当てはまる場合、問い合わせが増えない構造的な原因が存在している可能性が高いです。
自己診断チェックリスト
- □ CTA設計:サイト内に「問い合わせ」以外のCTA(資料DL・無料相談など)が存在しない
- □ ターゲット明示:トップページのキャッチコピーを読んでも、対象業種・対象規模が分からない
- □ 事例コンテンツ:導入事例や顧客の声のページがない、または「A社様」などの匿名記載しかない
- □ コンテンツの多様性:情報収集段階の訪問者が読めるブログ・コラム・事例ページが5本以下
- □ フォーム設計:問い合わせフォームの必須項目が8つ以上、または「送信後の流れ」が書かれていない
チェック結果の読み方
| 当てはまった数 | 状況の見立て | 優先すべき対応 |
|---|---|---|
| 0〜1個 | 基本設計は整っている。流入量の問題の可能性が高い | SEO・広告など集客施策の見直し |
| 2〜3個 | 部分的に穴がある。特定ページの改善で成果が変わる | 当てはまった項目から優先順位をつけて着手 |
| 4〜5個 | サイト全体の設計を見直す必要がある | 情報設計・メッセージ設計から再構築 |
「施策を増やす」前に「穴を塞ぐ」
問い合わせが増えない会社に共通しているのは、施策の数が少ないことではなく、既存の設計に穴が開いたまま施策を追加し続けていることです。新しい広告を出す前に、今のサイトに来た訪問者が問い合わせをしない理由を1つでも潰すことの方が、費用対効果は高くなります。
上記のチェックリストで3つ以上当てはまった場合、今すぐ追加費用をかけなくても改善できる箇所が複数あります。フォームの項目を減らすこと、問い合わせ後の流れを3行で書くこと、事例ページを1本でも作ること——そうした地味な一手が、97%の離脱を少しずつ減らしていきます。
自社サイトのどこに問題があるかを特定し、何から手をつけるべきかを整理したい場合は、ぜひ一度ご相談ください。






