「書籍を出す会社」が選ばれる理由とは?BtoB企業のパブリッシングブランディング戦略

デジタル施策に限界を感じ始めたBtoB企業が直面する“伝わらなさ”の壁
BtoB領域におけるマーケティングは、近年ますます複雑化しています。デジタル広告やSEO、ホワイトペーパー、ウェビナー、SNS、マーケティングオートメーション(MA)など、施策の手段は増えましたが、その一方で、顧客の情報飽和も進み、「伝えたい情報が、正しく伝わらない」という課題を多くの企業が抱えています。
特に、製造業やITソリューション、SaaSなどの領域では、製品・サービスの差別化要素が機能や価格に収束しやすくなっており、「企業として何を信じ、何を大切にしているのか」が伝わらないと、選ばれる理由にならない状況が顕在化しています。
従来のWeb施策だけでは限界がある今、注目を集めているのが「パブリッシングブランディング」、すなわち書籍出版を通じて企業ブランドを確立・強化するという手法です。
書籍ブランディングとは何か?信頼と思想を“深く伝える”唯一の施策
「書籍ブランディング」とは、企業の思想やノウハウ、価値観を体系的にまとめた書籍を発刊し、それを通じて信頼性・専門性・共感を獲得するブランディング手法です。
単に製品・サービスを紹介するパンフレットやホワイトペーパーとは異なり、書籍は以下のような独自の力を持っています。
長時間接触できるメディアであること(読了に30分以上を要することも多く、深い理解を促進)
・「出版」という事実そのものが信頼や権威を生むこと
・誰にでも閲覧可能なオープンコンテンツではなく、選ばれた読者に届く選別メディアであること
・保存性が高く、社内で回覧・保管されやすいこと
デジタル施策が「広く浅く届ける」ものであるなら、書籍はまさに「深く狭く刺さる」施策。意思決定者との信頼構築に強く作用する戦略型メディアとして位置づけることができます。
なぜ今、BtoB企業がパブリッシングブランディングを導入しているのか?
では、なぜ今になってBtoB企業の間で書籍ブランディングが広がり始めているのでしょうか。その背景には、次のようなマーケティング環境の変化があります。
①決裁者・経営層との深い接点を持てない問題
Web広告やセミナーでは、実務担当者層へのアプローチが主流となりがちですが、書籍は経営者・幹部クラスにも受け入れられやすいフォーマットです。とくに「企業の理念」「事業戦略」「業界課題への提言」などのテーマは、トップ層にとって価値ある情報となり得ます。
②情報の信頼性・精度を担保できる手段が求められている
Web上の情報が玉石混交である今、法人担当者は情報の信頼性を非常に重視しています。「本として出版されている」というだけで、圧倒的な信頼性が担保されるというのは、あらゆるコンテンツ施策の中でも特筆すべき特性です。
③売り込み臭のない自然なリード獲得が可能になる
多くの顧客は、セールス臭が強いコンテンツに拒否反応を示します。書籍は「営業資料」ではなく「知見の共有」として届けられるため、自然に興味を持ってもらい、読後に能動的にアクションを起こしてもらえる導線が作れます。
書籍ブランディングの活用例:営業・採用・広報を横断する万能ツール
書籍は単に出版して終わりではなく、「活用」こそが本当の価値を生み出します。
以下は、実際にBtoB企業が書籍ブランディングを活用して成果を上げている領域です。
①営業活動への活用
・初回アプローチ時に書籍を献本 → 信頼感が高まり、アポ率や商談化率が上昇
・商談後のフォローとして送付 → 競合との差別化に寄与
・展示会やセミナーでの配布 → 持ち帰りたくなる資料として機能
②採用活動への活用
・学生や転職者に対して「企業のビジョン・思想・事業理解」を深く届けられる
・書籍を読んだうえでの応募 → 高い志望度とミスマッチ防止が両立
・内定者フォローや入社後研修にも流用可能
③広報・経営ブランディングへの活用
・書籍をきっかけに業界誌・新聞から取材が来るケースも多数
・地域金融機関や取引先への信頼獲得に寄与
・M&A、資金調達時の企業価値の可視化資料としても機能
このように、書籍はマーケティングのみに閉じない「戦略的ブランド資産」として活躍できるのです。
書籍を“出して終わり”にしないために必要な戦略とは
多くの企業が誤解しているのは、「書籍を出せば売れる」「出版したら勝手に話題になる」という幻想です。実際には、書籍の価値はその後の活用設計にかかっていると言っても過言ではありません。
成功する企業は、書籍を起点に次のような連携施策を実施しています:
・書籍を紹介するランディングページを制作し、ダウンロードフォーム設置によるリード獲得
・著者登壇のウェビナー開催 → 興味層の引き上げ
・書籍の内容を再編集してオウンドメディア記事・メールマガジン・動画化
・営業・採用・PR部門との部門横断的な活用連携
このようなクロスメディア展開を意識してはじめて、書籍ブランディングは中長期的な投資対効果を生むことができます。
パブリッシングブランディングは「企業思想を資産化する」マーケティング戦略
「書籍を出すなんて、まだ早い」「有名企業しかできないもの」と思っているBtoB企業は少なくありません。しかし実際には、中堅企業こそが書籍ブランディングの効果を最も享受できる層です。
なぜなら、自社の魅力や思想を言語化する場が少ないからです。
そして、書籍は伝えきれなかった価値を正しく伝えるための最も強力なフォーマットなのです。
最後に、私たちはこれまで法人営業やマーケティング分野での書籍出版支援を通じて、経営視点に立った「伝わるコンテンツ」「成果につながる設計」を一貫して提供してきました。企画から制作、活用までワンストップでご支援できます。
もし、「書籍を出してみたい」「興味はあるが何から始めれば良いか分からない」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。
自社の強みや思想をカタチにし、伝わるブランド資産に変えるための第一歩を、私たちがご支援いたします。