EFOの比較検討:最適な手法とツールを見極める

EFOと他の最適化手法の比較
EFOはフォーム自体を最適化する施策であり、LPOやSEO、デジタル広告など他のマーケティング施策とは異なる目的と役割を担います。本章では、それぞれの違いや連携のポイントについて解説します。
(1) LPO(ランディングページ最適化)との違い
EFOとLPOは、どちらもコンバージョン率を高めるための施策ですが、そのアプローチは明確に異なります。LPOは、訪問者をコンバージョンに導くためにランディングページ全体の構成・デザイン・コピーを見直す手法です。一方、EFOは訪問者がフォームに到達した後の「離脱」を防ぐことにフォーカスしており、入力項目の数や順番、エラー表示や補助テキストなど、フォーム自体の使いやすさを改善します。つまり、LPOが入口を整える施策であるのに対し、EFOは出口を整える施策と言えます。
(2) SEOとの関係性
SEOは、検索エンジンを活用して見込み顧客をサイトへ集客する施策です。EFOは、その集客の成果を無駄にしないためのコンバージョン施策に該当します。いくら検索順位が上がって訪問者数が増えても、フォームでの入力離脱が多ければリードは増えません。SEOとEFOは連携してこそ真価を発揮し、前者が量を、後者が質を担保します。アクセス解析を通じて流入後の行動を把握し、EFOによる最終アクションへの改善に取り組むことが求められます。
(3) デジタル広告との併用
デジタル広告は、短期間でターゲット層にリーチできる手段ですが、クリック後のフォーム体験が悪ければ、獲得コストが高騰する要因になります。EFOは、この「高コストな訪問者」を確実にリードへと変える役割を担います。例えば、広告経由の訪問者に対しては、モバイルでの入力しやすさや、入力支援機能の有無が大きく影響します。EFOと広告施策はROIの最適化という観点からも密接に連携すべき領域です。
EFOツールの選定基準
EFOを成功させるには、どのツールを使うかが大きなカギとなります。ツールごとに機能や使い勝手が異なるため、自社に合ったものを選ぶための基準を整理します。
(1) 操作性とカスタマイズ性
EFOツールは導入後に継続的な改善が求められるため、マーケティング部門や非エンジニアでも直感的に操作できるUIやカスタマイズ性が重視されます。フォーム構成や色、ボタン配置などの変更が柔軟にできるか、実装にコーディングが必要か否かもポイントです。また、ユーザー行動の可視化(離脱位置のヒートマップやフィールド別離脱率)を通じて改善点を導き出せる分析機能の有無も重要です。
(2) ABテスト機能の有無
複数のフォームデザインを並行して検証できるABテスト機能があると、感覚や経験に頼らない「データに基づいた改善」が可能になります。どの要素がCV率向上に貢献しているのかを特定することで、限られたリソースの中でも効率的に改善が図れます。施策効果を可視化するためにも、ABテストを標準機能として備えたツールが望ましいです。
(3) モバイル対応の重要性
現在、ユーザーの大多数がスマートフォン経由でサイトを閲覧・入力しており、モバイルでのフォーム体験が全体のCVRに大きく影響します。文字の視認性、タップ領域の広さ、自動入力補助など、モバイル特化の設計ができるかどうかも選定ポイントです。PCで問題ないフォームでも、モバイルでは大きなストレスになるケースが多々あります。
(4) セキュリティとプライバシー対応
BtoBのフォームでは企業名や担当者情報などセンシティブな情報を扱うため、セキュリティ面への対応は必須です。SSL対応はもちろん、データの保存・送信時の暗号化、GDPRや日本の個人情報保護法への準拠など、法令対応も確認が必要です。顧客からの信頼を得るためにも、プライバシーポリシーへの対応を明示できるツールを選びましょう。
実際に利用されるEFOツールの例
市場にはさまざまなEFOツールが存在します。それぞれの特徴を把握し、自社のニーズに合ったものを選ぶことが成果につながります。本章では代表的な3ツールを紹介します。
(1) Form Optimization Pro
このツールは、ノーコードで高度なカスタマイズが可能な操作性が魅力です。リアルタイムのエラー通知表示や入力補助、候補入力の提示など、ユーザーの入力負荷を最小化する機能が豊富です。ABテストや行動分析も標準装備されており、大規模フォームでもスピーディにPDCAを回すことが可能です。
(2) Conversion Plus
中小企業やスタートアップ向けに設計されており、初期導入のハードルが低いことが特徴です。機能はシンプルながらも、モバイル対応や簡易的なABテスト、CV解析機能など、必要最低限の項目は揃っています。コストを抑えつつ、まずEFOに取り組みたい企業にとっては適した選択肢となります。
(3) Smart Form Analyzer
AI技術を活用し、フォーム内のユーザー行動を解析して自動で改善提案を行う高機能ツールです。大量のデータから離脱ポイントを抽出し、どの項目で何割のユーザーが離脱しているかを即時に可視化できます。大規模なリード獲得を担うBtoB企業で、EFOの効果を最大化したいケースに向いています。
EFOを選択する際のポイント
EFOを導入する際には、単にツールの機能を見るだけでなく、コストやサポート体制、他の施策との連携も考慮する必要があります。本章ではその具体的な検討ポイントを解説します。
(1) 導入コストの比較
ツールによって初期費用、月額利用料、カスタマイズ対応費用が大きく異なるため、導入前にトータルコストを算出し、ROIを比較することが重要です。目先の費用だけでなく、効果的なフォーム改善により得られるリード数増加を含めた中長期の視点で評価しましょう。
(2) サポート体制の確認
ツールの導入・運用には不明点やトラブルがつきものです。日本語対応のマニュアルやサポートデスクの有無、導入初期のオンボーディング支援など、ベンダーのサポート体制を確認しておくことが安心です。特に社内にWeb専任者がいない場合、サポートの質が成否を分ける要因になります。
(3) 他施策との連携
EFOはLPOやCRM、MA(マーケティングオートメーション)などと連携して活用することで、より大きな効果を生みます。例えば、フォーム入力情報をMAに連携することでスコアリングやナーチャリングに活用できます。EFO単体ではなく、他の施策と組み合わせる全体戦略の中で位置づけることが重要です。
次のステップ
EFOの導入は、単にツールを選んで設置するだけではなく、自社のWebマーケティング全体戦略との整合性が求められます。現在抱える課題や、CVR改善のボトルネックを明確にし、適切なツールと体制を整えたうえで実行に移しましょう。次回のコラムでは、導入ステップや運用のノウハウを具体的に解説します。